得する税金のはなし

このブログは、税理士として仕事をする中で気づいたことや役に立つことを分かりやすく書いていきます。

税理士の選び方 その2

今回は、税理士の選び方の第2弾です。私は大学在学中から、かれこれ8年ほど金沢の会計業界にいて、様々な事情があって現在が3つ目の事務所なので、色んな税理士の方を見てきました。

 

これを踏まえて、今回は、税理士の性格や業務の特徴別に、税理士を選ぶ際のヒントになるような情報を記載しようと思います。写真は、通勤路パート2です。内容とは一切関係ありませんが、ご容赦ください。

 

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記帳代行メインの税理士

お客様から帳簿資料をお預かりして、これを会計データに入力し、試算表を作る仕事が主な税理士です。古いお付き合いのお客様が多く、規模も様々な会社や個人事業を相手にしています。

 

記帳代行の業務は、それほど単価が高くはないので、とにかく数をこなさなければならないため、忙しいイメージがあります。また、あまり相続税をあつかっていないので、このあたりのアドバイスをあまり受けられない可能性があります。

 

ただ会計処理はとてもなれているので、試算表や決算をまとめてくれるだけでいいというお客様には向いています。

 

相続税メインの税理士

最近、北陸でも相続税の単価が下がってきたため、このタイプの税理士が増えてきたんだと思います。相続税を専門にしているので、主に個人の方を相手に仕事をしています。BtoBtoCのビジネスモデルで、他の企業からの紹介を受けるケースが多いようです。

 

相続税は申告期限まで10か月の猶予があるうえ、特定の時期に集中することもないので、そこまで忙しくないイメージあります。

 

将来の相続税対策や相続税申告を依頼するなら、このタイプの税理士がいいと思います。相続税を専門にやっているだけあって、他のタイプの税理士よりも相続税の申告報酬は安いです。

 

組織再編などの提案型の税理士

顧問業務はあまりやらず、スポットで組織再編や事業承継を提案する税理士です。比較的規模の大きい会社を相手にしています。スキームの構築力が高く、様々な提案をしてくれますが、当然、その分報酬も高いです。

 

こちらのタイプの税理士は、業務に期限はないものの、スキームの検討にかなり時間がかかるので、忙しい方にしかお会いしたことがないです。

 

高い報酬を払ってでも、それ以上の効果を出るために、規模の大きい会社と相性がいいです。また組織再編や事業承継はたくさんの税法がからんできますので、知識はとても豊富です。

 

まとめ

いかがでしょうか。税理士にもさまざまなタイプがいます。それぞれ特徴がありますので、ニーズにあった税理士を選ぶことが大切です。

 

 

税金ですべての財産がなくなる訳ではない

今回は、税金と手許に残るお金について考えてみます。税率は高いですが、100%ではありません。手許に残るお金を考えながら、税金と付き合っていく方がいいこともあります。

 

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税理士は納税者の味方です

税金をおさめることを書いたり、話したりすると、税務署の犬のように見られがちなのが税理士の仕事です。しかし、そんなことはありません。様々なタイプの税理士がいますが、私はお客様の納める税金を少しでも下げる合法的で正当な方法があれば、どんなに手数をかけても、それを実行したくなります。そのため、税務署との見解の相違があれば、どんなに小さなことでもできる限り交渉して、納税者に有利な回答を引き出そうとします。

 

ただ今回は、そのような場合だったら税金を納めてもいいんじゃないですかという話です。

 

相続対策のし過ぎでお金が無くなる

手許に現金があれば、相続対策の幅がぐっと広がります。不動産を買ってもいいですし、保険の加入もできます。さらに現金の生前贈与も可能です。

 

これらはやった分だけ如実に効果がでます。不動産を買えば買うほど、贈与すればするほど、自らの財産価値や財産自体が減っていき、どんどん将来の相続税額が下がっていきます。

 

ん、、、

ちょっと待ってください!

 

本当にそれでいいのでしょうか。

 

自分のセカンドライフをもっと満喫しなくていいのでしょうか。

確かに、自分にお金を使っても使い切れないぐらいの額をお持ちのお客様はいらっしゃいます。そのような方はいいかもしれませんが、相続対策を考えるとき、まずは自分に使う分を確保してください。

 

そして、そのあとに対策を検討していただきたいのです。

 

あげすぎたお金は戻ってこない

極端な例に思われるかもしれませんが、実際、生前贈与を過剰に行った結果、自らの財産にかかる相続税を、お持ちだった現預金でまったく払えない方に遭遇したことがあります。

 

自分が死んだ後のことは知らないし、他の財産を換金して納付してくれればいいと思うかもしれませんが、流動性のない資産は簡単には換金できません。それが納付のための売り急ぎとなり、本来の価格よりも安くなってしまったり、残された財産で足りなければ、自己資金で納付をしなければならなくなります。(詳細は、ここでは触れませんが、物納は簡単にはできません)

 

贈与の場合、あげたお金はかえってきませんし、それが相続税の納付時に残っている保証はありません。相続対策に不動産を購入される場合、残されたご家族は処分や管理に困る不動産を本当に望んでいるでしょうか。それなら相続税をひかれたとしても現預金でもらいたい、そのような方は多いと思います。

 

例えば、大変な額の相続税がかかる方でも、財産がすべて現預金であれば何も困ることはありません。現預金から相続税を納付すれば済むからです。そして、税引き後の財産が手許に残ることになります。

 

まとめ

いかがでしょうか。相続対策のし過ぎは考え物です。そして、自分にお金を使うことが一番の対策です。そして納税資金の問題も検討しなくてはなりません。税理士として、自分が悔いのない、そして残されたご家族が困らない、お金の使い方をお客様と一緒に考えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

退職時の確定申告

今回は、退職した時の確定申告についてです。会社をやめた場合、税金を納めすぎているかもしれませんので確定申告をすれば戻ってきます。このことについて説明させていただきます。

 

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退職した年は年末調整してくれない

皆さんの中には、年末調整の還付金を楽しみしている方もいるのではないでしょうか。この年末調整ですが、辞めた会社はこの手続きをしてくれません。

 

年末調整の手続きがあれば、納めすぎた税金は戻ってくるのですが、退職した年は、この手続きがないため、自分で確定申告をする必要があります。

 

源泉徴収票をもって確定申告する

確定申告には、退職時にもらう源泉徴収票が必要になります。もらっていない場合でも、会社には源泉徴収票を渡す義務がありますので、しっかりと請求してください。

 

この源泉徴収票をもって最寄りの税務署又はe-Taxで確定申告をすることになります。そうすることで、納めすぎた税金がかえってきます。状況によっては、数万円の還付になることもあるので、手続きを忘れないようにしてください。

 

期限後でも還付を受けられる

通常、確定申告の期限は翌年の3月15日ですが、この期限を過ぎてしまっても確定申告の手続きをすることができます。ざっくりいうと5年間は猶予期間がありますので、この間に手続きを行うことになります。

 

しかし、これも過ぎてしまうと還付を受けることができなくなりますので注意が必要です。期限後の手続きについては、最寄りの税務署に相談することをお勧めします。

 

まとめ

退職した年は、税金を納めすぎている可能性が高いです。しっかりと手続きをして還付を受けるようにしましょう。

 

節税とは

今回は、節税についてとりあげます。よく節税したという話を聞きますが、本当に節税になっているのでしょうか。ただ課税を将来に繰り延べただけではありませんか。会社にお金を残すには真の節税と納税も必要です。今日は、このあたりについて書かせていただきます。

 

写真は、私の通勤路である浅野川沿いの夜桜です。記事とはまったく関係がないのですが、きれいだったので載せました。

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それは単なる課税の繰り延べですよ

税理士という仕事をしていると、お客様は節税したと思っていても、単に課税を将来に繰り延べただけだったということによく遭遇します。その代表的なものは保険です。保険は、保険料を支払うことによって、費用にできる分だけ利益が圧縮されますので、確かに当期の法人税は減少します。

 

しかし将来、解約すれば解約返戻金が戻ってくるため、費用にしていた分は解約した期の収益に計上されます。当然、他に何もしなければ収益に計上された期に、いままで減少した分の法人税を支払わなければなりません。これは節税とはいいません。

 

真の節税とは

真の節税とは、税額控除や非課税制度を活用して永久に税の減少効果を享受することです。これには、交際費の非課税枠の活用や賃上げ税制の税額控除などがあります。税理士は、このような真の節税をしっかりと提案し、お客様に適用してもらうことが大切です。

 

毎月の監査業務や決算時、何気ない会話の中でも適用できるような節税策がないか、いつも気をはっています。しかし、税理士は節税を説くだけではなく、納税により、しっかりと会社にお金を残し、これを次の投資に回して会社が成長していくようにアドバイスをすることが必要です。

 

納税の必要性

進んで税金を払いたいという方はいないかもしれませんが、基本的に納税をしなければお金は残りません。当然、お金が残らなければ、どこかで会社の経営が行き詰ってしまいます。利益がでれば法人税がかかりますが、税金で利益のすべてがなくなる訳ではありません。

 

100の利益がでたなら、40を納税して60は手元にのこります。この60を翌期、再投資して、この資本が年数%で回っていけば、10年後には数倍になります。これに対して、保険で課税を繰り延べしただけであれば、利息分を考慮しなければ、1も増えません。

 

まとめ

いかがでしょうか。昨今、損金性の高い法人向けの保険が問題視されていますが、これを機に少し保険の加入を考え直してみてはいかがでしょうか。課税の繰り延べよりも真の節税と納税が企業を長期にわたって存続させるためには必須です。

相続対策としての贈与

今回は、相続対策として用いられやすい贈与の留意点について紹介します。対策として行いやすいのが贈与という方法ですが、相続税の調査時に指摘が多い事項でもあります。次の論点をしっかり押さえて、贈与を行うことが必要です。

 

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贈与の事実を残す

贈与とは、もらう人とあげる人の合意があってはじめて成立します。そのため、この贈与が成立している証として、贈与契約書を残しておく方がベターです。ただ契約書がないからといって、必ずしも贈与が成立していないとはいえません。

 

また現金ではなく、銀行口座を通して贈与することで、いつ、いくら贈与したのかが明確になります。現金でも確かに贈与はできるのですが、時が経つと時期や金額が分からなくなるばかりか、贈与が成立していることを証明できないと、せっかくの対策が無意味になります。

 

通帳はもらった人が管理する

贈与を受けた通帳やそこに使われている印鑑はもらった人が管理する必要があります。あげた人が管理したままでは、あげた人がお金をおろしたり、使ったりすることができるため、贈与が成立していないとみなされる可能性が高くなります。

 

相続税の税務調査では、相続人全員の印鑑が調べられます。また預金の出入金の動きや払い出し伝票の筆跡まで把握していますので、実際に管理していないと贈与でないと指摘を受けることになります。

 

まとめ

いかがでしょうか。贈与はお子様やお孫様に少しでもお金を残そうと思ってされることが多いと思いますが、贈与が成立していないという指摘を受けると、相続財産に加算されるため余計な税金がかかり、残すお金が少なくなってしまいます。上記の留意点をしっかりとおさえて有効な形で贈与を行いましょう。

税理士試験受験テクニック その2

今回は、前回に引き続き、税理士試験の受験テクニックについて、私が受験生時代に実践していたことを紹介します。

 

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電卓は同じものを3つ所有

電卓は、必ず同じものを3つもっていました。1つは職場用、2つ目はTACでの勉強用、3つ目は自宅での学習用です。そのため、電卓を持ち歩くことはせず、使用する場所に常に、同じ電卓が置いてある状態にしました。

 

これは使用するときに電卓がないという状態を防ぐことはもちろんですが、かならず同じ電卓を使用することになるので、電卓スピードが格段にあがります。

 

また税理士試験本番では、そのうち2つを必ずもっていき、万が一、電卓が壊れても大丈夫な状態にしていました。年に1回しかチャンスのない税理士試験は、その1日にすべてをかけています。体調管理はもちろんのこと、道具についても必ずスペアを1つ以上持っていくようにしていました。

 

模試の結果は気にしない

税理士試験は、本番の前に模試を受け、これの判定によって一喜一憂することが多いと思いますが、私はこの模試の結果をまったく気にしませんでした。これは、S判定がでて油断して落ちた人も、E判定でも最後に追い上げて合格した人も知っていたからです。

 

当然、問題や回答内容は気にしますが、判定結果に関してはあまり意味がないと思います。実際、私は消費税法に合格した年の模試では、一度もD判定以上をとったことがありませんでした。つまり、すべてE判定だったのですが、自分は着実に実力をつけていると信じていたので、本番まで勉強を継続し、合格することができました。

 

まとめ

年に1回しかない税理士試験は、道具にこだわることも必要だと思います。合格するかしないかのラインには、大勢の人がいます。その中で合格する人としない人の違いは、ごくわずかです。本当に些細なことかもしれませんが、その些細なことで惜しくも不合格となってしまう場合もあります。

 

また試験勉強の期間が長いので、その間、さまざまな心情の浮き沈みがあると思います。これは仕方がない事ですが、模試については判定を気にせず、本番まで、着実に実力をつけていくことが大切です。

 

税理士試験受験テクニック

今回は、私が税理士試験を受験していたときに実践していたことをご紹介します。少し変わった方法もあるかもしれませんが、これから受験される方のお役に少しでも立てたら幸いです。

 

理論は書いて覚えない

税理士試験には、税法の条文を覚えたり理解しているかを問う理論という分野があります。税法によっては、とてつもない量の暗記が必要となるものですが、私はこれを覚える際、一切書くことはしませんでした。

 

では、どうやって覚えたかというと、ただひたすら呪文のように唱えていました。TAC生だったのですが、TACの駐車場を理論マスターを片手に、理論を唱えながら、ひたすら歩きまわるということをやっていました。かなり、あやしいやつです。

 

筆記具にこだわる

税理士試験本番では、覚えた理論をひたすら書く必要があります。模試などの練習問題を解く際、これを一日に何回もやるわけですが、筆圧の強い私は、恒常的に右腕の筋肉が痛くなるようになりました。

 

そこで、筆記具には相当こだわりました。軽くて書きやすいもの、そして青。そして、それを50本ほど購入し、インクがなくなることに快感を覚えていました。一本ペンが書けなくなると、これだけ頑張ったという達成感に浸ることができます。ちなみにペンは、ゼブラのサラサです。

 

解ける問題の見極めが大事

税理士試験は、120分の制限時間には、とても解き終わらないような量の問題が出題されます。そのため、難しい問題は捨てて、解きやすい問題に時間をかけることがとても重要です。

 

試験の開始時間から、かなりの時間をこの見極めに使っていたおかげで、短期間のうちに必要科目に合格することができたのだと思います。皆さんは、くれぐれもいきなり問題を解き始めたり、電卓をたたき始めないように注意してください。問題の把握が合否を分けます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。上記3点は、私が税理士試験を受験する上で、特に注意していた点です。今後も、思いついたときに続編を書いていこうと思います。