得する税金のはなし

このブログは、税理士として仕事をする中で気づいたことや役に立つことを分かりやすく書いていきます。

税金ですべての財産がなくなる訳ではない

今回は、税金と手許に残るお金について考えてみます。税率は高いですが、100%ではありません。手許に残るお金を考えながら、税金と付き合っていく方がいいこともあります。

 

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税理士は納税者の味方です

税金をおさめることを書いたり、話したりすると、税務署の犬のように見られがちなのが税理士の仕事です。しかし、そんなことはありません。様々なタイプの税理士がいますが、私はお客様の納める税金を少しでも下げる合法的で正当な方法があれば、どんなに手数をかけても、それを実行したくなります。そのため、税務署との見解の相違があれば、どんなに小さなことでもできる限り交渉して、納税者に有利な回答を引き出そうとします。

 

ただ今回は、そのような場合だったら税金を納めてもいいんじゃないですかという話です。

 

相続対策のし過ぎでお金が無くなる

手許に現金があれば、相続対策の幅がぐっと広がります。不動産を買ってもいいですし、保険の加入もできます。さらに現金の生前贈与も可能です。

 

これらはやった分だけ如実に効果がでます。不動産を買えば買うほど、贈与すればするほど、自らの財産価値や財産自体が減っていき、どんどん将来の相続税額が下がっていきます。

 

ん、、、

ちょっと待ってください!

 

本当にそれでいいのでしょうか。

 

自分のセカンドライフをもっと満喫しなくていいのでしょうか。

確かに、自分にお金を使っても使い切れないぐらいの額をお持ちのお客様はいらっしゃいます。そのような方はいいかもしれませんが、相続対策を考えるとき、まずは自分に使う分を確保してください。

 

そして、そのあとに対策を検討していただきたいのです。

 

あげすぎたお金は戻ってこない

極端な例に思われるかもしれませんが、実際、生前贈与を過剰に行った結果、自らの財産にかかる相続税を、お持ちだった現預金でまったく払えない方に遭遇したことがあります。

 

自分が死んだ後のことは知らないし、他の財産を換金して納付してくれればいいと思うかもしれませんが、流動性のない資産は簡単には換金できません。それが納付のための売り急ぎとなり、本来の価格よりも安くなってしまったり、残された財産で足りなければ、自己資金で納付をしなければならなくなります。(詳細は、ここでは触れませんが、物納は簡単にはできません)

 

贈与の場合、あげたお金はかえってきませんし、それが相続税の納付時に残っている保証はありません。相続対策に不動産を購入される場合、残されたご家族は処分や管理に困る不動産を本当に望んでいるでしょうか。それなら相続税をひかれたとしても現預金でもらいたい、そのような方は多いと思います。

 

例えば、大変な額の相続税がかかる方でも、財産がすべて現預金であれば何も困ることはありません。現預金から相続税を納付すれば済むからです。そして、税引き後の財産が手許に残ることになります。

 

まとめ

いかがでしょうか。相続対策のし過ぎは考え物です。そして、自分にお金を使うことが一番の対策です。そして納税資金の問題も検討しなくてはなりません。税理士として、自分が悔いのない、そして残されたご家族が困らない、お金の使い方をお客様と一緒に考えていきたいと思います。