初七日の費用は債務控除の対象外
今回は相続税の計算において、相続財産から控除できる葬式費用の範囲についてです。葬式費用として認められるものがあれば、その分財産を減らし、相続税を下げることができますので、葬式費用の範囲を確認していきます。
初七日の費用は葬式費用ではない
初七日は死者を弔う儀式ではないため、葬式費用には含まれません。ただ、昨今は、葬式の日に初七日の法要を行うのが一般的です。このような場合、葬儀費用の請求書の中に初七日の費用が入っていることになります。
これらの費用の区分が明らかでない場合には、葬式の前後に通常必要と認められる費用と考えて、葬儀費用全体を葬式費用と考えることができます。
四十九日の費用も対象外
初七日と同じ理由で、四十九日の費用も葬式費用には含まれません。これらの費用は法会、法事の費用とみなされ、死者を弔う儀式の費用とは認められません。
香典返礼費用
こちらも葬式費用に含まれません。よく香典返しの費用として、葬儀会社からの請求書に入っていることがありますが、この分は抜いて葬式費用を計算する必要があります。
ただし、葬儀の会葬のお礼の品とは別に香典返しを行っている場合は、その費用が香典返戻費用とみなされるため、この場合の会葬のお礼の品は葬式費用に含めてもよいことになります。
まとめ
葬式費用は、本来は相続人が負担するものではあるが、通常必要となる費用であるため特別に控除が認められているため、その範囲は複雑です。
初七日や香典返戻費用などは、請求書の区分や返戻の方法によって取り扱いが変わる可能性もありますので、注意が必要です。
利益がでていて株価が高い場合
今回は、利益がでていて株価が高い場合の対策です。グループ会社等の状況によっては様々な方法が考えられますが、まずは代表的な方法から解説していきます。
損をだす
当然ですが、損をだせば利益は減りますので、その分は株価が下がります。方法としては、退職金の支給や含み損のある資産の売却、保険の活用、役員報酬の増額、オペレーティングリースなどが挙げられます。
会社からお金が流出しないで損を出すのは難しいですが、お金が多少でていっても問題のない会社であれば損を作る方法はいくらでもあります。
赤字会社を合併させる
グループ会社に恒常的に赤字の会社があれば、これを合併させることも一つの方法です。黒字会社の方は、受入れた会社の赤字だった分について、利益が減りることになります。適格要件を満たさせば、課税関係が発生することもありません。
また合併により大会社、中会社、小会社などの会社区分があがる可能性もあります。
ただ合併をしても事業実態に変更がなければ問題はないのですが、しばらく株価が高くなる可能性があります。この場合は、合併から2期以上たてば通常の評価ができようになるので、贈与などを考えている場合は、早めに合併させる必要があります。
まとめ
いかがでしょうか。利益に対しては、損を出すだけではなく、組織再編の手法も有効な場合がありますので、それぞれの会社の状況にあった対策を検討することが必要です。組織再編は、大きな効果がでることもありますが、留意点も多いので、専門家と一緒に慎重に進めていきましょう。
御社の株価はいくらですか
今回は、中小企業の自社株式の評価額についてです。税理士をしていると、自分の会社の株価がいくらなのか知らない経営者の方にお会いすることがよくあります。理由は、顧問の税理士があまり関心をもっていないか、評価方法が複雑だからだと思います。
確かに評価方法は複雑なので詳細まで知る必要はないと思いますが、現在の株価や会社の経営状態がどのように株価に影響するかは知っておくべきです。今回は、このあたりを解説していきます。
まずは大会社に該当するか
中小企業は、株価を計算する際、まずは3つの区分に分類されます。これが小会社、中会社、大会社という区分です。この中で大会社に該当すれば、一般的に株価自体はそれほど高いものにはなりません。
この区分は、総資産額や売上高、従業員数などを基準に判定されます。総資産額や売上高の基準は業種ごとに定められており、例えば卸売業であれば、総資産額なら20億円、売上高なら30億円以上で、どちらかでも基準を満たせば大会社となります。
従業員数は、業種に関係なく社長などの特定の役員を除いた数が70以上であれば、大会社となります。
内部留保が大きい会社は株価が高くなる
株価が高い理由で多いのが、内部留保が分厚いことです。長年苦労して、利益を出し、税金を払って内部留保を厚くさせてきた会社ほど、株価は高くなります。
利益がまったく出ていなかったとしても、内部留保がかなり大きいために、それが株価に影響し、株価が高くなることがあります。
多額の配当をしている会社も株価が高くなる
株主に第三者が入っているために、やむを得ず多額の配当金を出して株価が高くなっている会社もあります。このような企業は、第三者が保有する株式の買い取りなどを検討して、株価の水準を下げたり、配当をやめたりすることで株価を抑えることができます。
少し話しがそれますが、株式の承継を考えている場合、株価の問題もさることながら、分散している株式を集約することも必要です。遠い親戚などに分散している株式は、将来、買取金額などを巡ってトラブルになる可能性が高いです。
まとめ
内部留保が厚い会社や多額の配当をだしている会社、本文では触れませんでしたが、当然、多額の利益を出している会社も株価が高くなります。まずは、これらの影響を把握し、自社の株価がいくらで、今後どのような問題が発生する可能性があるのか把握することが必要です。
そして、その問題に対する解決策には様々なものがあります。今後は、株式の承継問題に関する解決策を紹介していこうと思います。
孫への生前贈与
今回は、相続対策としてお勧めしたい孫への贈与について紹介します。孫への生前贈与はメリットが多いです。自分ではとてもつかいきれない財産をお持ちの方や孫に財産を残してあげたい方はぜひこの方法をご検討ください。
3年以内の贈与加算がない
まずメリットの一つとして挙げられるのが、贈与を受ける孫が相続人でない限り、3年以内贈与加算が適用されないことです。
3年以内の贈与加算とは、亡くなる日から3年以内に贈与を行った財産については相続財産に加えて相続税の対象となる制度です。せっかく贈与して自分の財産から切り離したつもりでも、3年以内に贈与した財産は相続財産に加算されてしまいます。
しかし、孫への贈与については、この制度が適用されないため、たとえ亡くなる直前の贈与であっても、その贈与が適法に成立していれば、相続財産に加算されることはありません。
一世代課税をとばせる
子供に財産を贈与した場合、その子供が無くなるときにはその財産に対して相続税が課税されます。しかし、財産を孫に贈与すれば、子供の代で、その財産についての課税を受けることがないので、一世代分の相続税を免除することができます。
まとめ
孫への財産は、メリットが多いです。私の親もそうですが、子供には何もしなくても孫には何かを残してあげたい気持ちになるのではないでしょうか。3年以内の贈与を加算を気にする必要がないので、かけこみ的な贈与にも向いているかもしれません。
なお未成年者に対しても贈与を行うことはできます。これは、よく質問を受けることなので、方法や留意点について、今後、紹介したいと思います。
相続対策としてのDES
今回は、デッド・エクイティ・スワップ(DES)についての考察です。税理士をしていると決算書に多額の代表者借入金が残ったままになっているケースをよくみます。これは本当にそのままにしておいてよいのでしょうか。
返済できるなら返済する
当たり前の話ですが、代表者借入金は、会社の資金繰りが苦しい時に、経営者の方が身銭をきって拠出したお金です。会社に返済する余裕があるのであれば返済を進めましょう。
本題とは話がそれますが、経営者にとって借入金の返済によって入ってくる収入は、貸したものが返ってくるだけなので税金がかかりません。
給与や地代で払うよりも借入金の返済に回した方が得な場合もありますので、給与や地代をけずってその分を返済に回すことも検討の余地があります。
返済できないならDES
会社の決算書にのっている社長借入金は、経営者からすれば貸付金です。これは経営者の身に万が一のことがあった場合、相続財産として相続税の対象となります。
そのとき会社に借入金を返済する余裕があればいいのですが、ないような場合、お金にならない財産に相続税がかかる結果になり、他の財産に流動性の高いものがなければ納税資金に困ることになります。
困るのは残された家族です。こうならないために経営者の方は事前に対策をしておく必要があります。ここで採られる手法がDESです。会社に社長借入金を返済する余裕がないのであれば、DESを検討してください。
DESとは
DESとは、社長借入金を現物出資という形で会社に拠出し、会社の株式に変える方法です。税理士に証明書を書いてもらい、登録免許税を払えば、それほど高くない手数料で司法書士が手続きをしてくれます。
ただし資本金が増加してしまうデメリットもあります。会計上は減資をすればよいのですが、均等割はどうしても上がってしまいます。このコストとDESによる節税効果を天秤にかけ、適用を検討することが大切です。
まとめ
会社の社長借入金は、返済できるのであれば返済を進めるべきです。ただ会社に返済する余裕がない場合には、お金にならないのに相続税がかかるやっかいなものになります。均等割等のコストを考慮して、DESの検討をすることをお勧めします。
増資後の事業承継税制
今回は、増資後の事業承継税特例制度の適用についての考察です。平成30年度の税制改正で制定された事業承継税制の特例制度ですが、昨年は様子見が多かったものの、今年は引き合いを受ける件数が増えてきました。
事業承継税制の特例とは
日本の経済を担う中小企業のを守るため、政府の肝いりで始まった制度で、この制度を使って自社株を承継し、一定の要件をみたせば、その株式に関する一世代分の相続税を免除するというものです。
昨年は、どのような制度なのかまだ情報も定まっておらず、税理士も経験が浅かったため、それほど適用は進んでいませんでしたが、今年に入り引き合いを受けることが多くなりました。
増資後の事業承継税制
この事業承継税制の特例ですが、どーせ株式に関する相続税が免除されるのだから、財産を株式に代えて承継してしまえば相続税がかからなくなるのでは、との意見がありました。
つまり、金銭や現物を会社に出資して、対価に株式を受け取ります。この株式を事業承継税制を適用して承継してしまえば、相続税がかからず財産の世代間移転ができてしまうということです。
増資には経済合理的な理由が必要
しかし、租税回避以外の理由がない増資の場合は、事業承継税制を適用しても否認される可能性が高いです。
そのため、増資をする場合は、経済合理的な理由が必要です。例えば、建設業の許可を取るために増資する必要があったなどです。このような説明ができなければ否認を受ける可能性があるので注意してください。
まとめ
事業承継税制は効果が大きいだけに悪用されやすい制度でもあります。この辺はよく考えて法律が作られているので、上記のような適用の仕方は難しいようです。また、しっかりと合理的な理由がある場合には、それを記録し、数年後の税務調査で主張できるように準備しておくことが大切です。
会社への貸付金は相続財産になります。
今回は、経営者なら一度は経験がある会社への貸付金についてです。会社の資金が底をついた時、一時的な支払いを立て替える時など、経営者の方は自分のポケットマネーをだして、会社に貸し付けるケースがあります。今回は、その問題点について解説します。
問題になるケース
金額がそれほど多くない場合や経営者の方がまだ若いケースであれば問題はないのですが、このような貸付金が長年蓄積され、数千万、数億円になっているケースがあります。
当然、そこまでお金を借りなければならないような状態ですから、会社に返済資金はありません。経営者としては、私財をなげうって会社を維持してきた訳ですが、万が一のことがあった場合、その多額の貸付金は相続財産となり、相続税がかかります。
相続税の納税資金がない
経営者の方は、会社にお金を恒常的にいれていたので、相続財産として現預金はあまり残っていません。あまり経営状態がよくないことが予想されるため、自社株式の評価額はそれほど高くないと思いますが、貸付金の残高は利息を除けば、その額面のまま評価されます。
現預金が残っていないのに、多額の貸付金に相続税が課されれば、その貸付金はすぐにはかえってこないので、納税資金に困ることになります。
会社を維持しようと懸命にやってきたことが、このような結果になってしまうのは、とても残念です。
DES
そこで会社への貸付金を資本金に振り替えるDESという手法を検討する必要があります。この手法をとることによって、額面通りにしか評価できなかった貸付金を株式としての評価にかえることができ、相続財産の評価額を大幅に減らすことができます。
まとめ
会社に多額の貸付金があるケースでは、DESが有効な場合があります。また役員報酬を減らして、その分を返済に回すことも検討の余地があります。
※個人のブログのため、内容は厳密な税法の言い回しを避けて記述しています。実際は、そのほかの留意点や例外的な場合もありますので、実行される際は税理士や弁護士などの専門家の指示に従ってください。