相続対策としての贈与
今回は、相続対策として用いられやすい贈与の留意点について紹介します。対策として行いやすいのが贈与という方法ですが、相続税の調査時に指摘が多い事項でもあります。次の論点をしっかり押さえて、贈与を行うことが必要です。
贈与の事実を残す
贈与とは、もらう人とあげる人の合意があってはじめて成立します。そのため、この贈与が成立している証として、贈与契約書を残しておく方がベターです。ただ契約書がないからといって、必ずしも贈与が成立していないとはいえません。
また現金ではなく、銀行口座を通して贈与することで、いつ、いくら贈与したのかが明確になります。現金でも確かに贈与はできるのですが、時が経つと時期や金額が分からなくなるばかりか、贈与が成立していることを証明できないと、せっかくの対策が無意味になります。
通帳はもらった人が管理する
贈与を受けた通帳やそこに使われている印鑑はもらった人が管理する必要があります。あげた人が管理したままでは、あげた人がお金をおろしたり、使ったりすることができるため、贈与が成立していないとみなされる可能性が高くなります。
相続税の税務調査では、相続人全員の印鑑が調べられます。また預金の出入金の動きや払い出し伝票の筆跡まで把握していますので、実際に管理していないと贈与でないと指摘を受けることになります。
まとめ
いかがでしょうか。贈与はお子様やお孫様に少しでもお金を残そうと思ってされることが多いと思いますが、贈与が成立していないという指摘を受けると、相続財産に加算されるため余計な税金がかかり、残すお金が少なくなってしまいます。上記の留意点をしっかりとおさえて有効な形で贈与を行いましょう。